LIGHTNING_OVERWRITES_01制作ノート
## はじめに
《LIGHTNING_OVERWRITES_01》は、ビットコインのLightning Networkを通じた送金が、写真の上に光の痕跡として現れるオンラインLIVE作品です。
鑑賞者がビットコインを送ると、その送金をきっかけに、ロボットがリアルタイムでB0サイズの写真プリント上に⚡マークを描き込みます。送金という不可視の行為が、物理的な描画へと変換され、写真を少しずつ上書きしていきます。

配信スケジュールは下記の通りです。
7/5 Sun 11:00 / 13:00 / 18:00 / 21:00
7/6 Mon 21:00
7/7 Tue 11:00 / 13:00 / 18:00 / 21:00
https://lightning-overwrites.steganography.tokyo/
## ステガノグラフィーについて
私たちSTEGANOGRAPHY TOKYOの名前に含まれる「ステガノグラフィー」とは、ある情報の中に別の情報を隠す技術のことです。
本作では、イスラエルで撮影された写真の撮影地を、地名として直接表示していません。代わりに、座標のかたちで作品ページ上に小さく記しています。座標としてだけ残されたその場所は、作品の中に「隠された情報」として静かに埋め込まれています。
2026年にこの写真に光を描いていく行為、そして上書きする行為がなぜ必要なのか、これらが本作《LIGHTNING_OVERWRITES_01》のコンセプトです。
## 作品の構造
本作では、写真、Lightning送金、Webページ、LIVE配信、ロボット描画を接続しています。
鑑賞者は、作品ページ上に表示された送金リンクから、ビットコインの最小単位であるsatを送ることができます。着金が確認されると、システムはその送金をトリガーとして認識し、制作環境側のロボットが写真の上に⚡マークを描きます。その様子はLIVE配信を通じて公開され、鑑賞者は自分の送金が写真の上に痕跡として現れる過程を見ることができます。
流れは以下の通りです。
鑑賞者がLightning Networkで21 / 210 / 2100 satsを送金
↓
LNbitsが着金を記録
↓
作品ページ上の合計sats数や履歴が更新される
↓
制作環境側のMacが着金を確認
↓
ロボットが写真の上に⚡マークを描画
↓
LIVE配信で共有
## Lightning Networkとsat
Lightning Networkは、ビットコインをすばやく少額送金するための仕組みです。sat、またはsatoshiは、ビットコインの最小単位です。
1 BTC = 100,000,000 sats です。
2026年7月5日現在のレートでは、おおよそ
21 sats = 約2円
210 sats = 約21円
2100 sats = 約210円
となっています。
satsの数によって描かれる⚡マークの大きさが変わります。
## Webページと配信構成
作品は、オンライン上の作品ページを入口として公開しています。
作品ページでは、LIVE配信、送金リンク、着金履歴、合計sats数、描画数などを表示します。鑑賞者は、ページを見ながらLightning送金を行い、その送金がロボットの描画へと変換される過程を確認できます。
作品ページは、LIVE配信と決済導線を同じ画面上に配置することで、鑑賞、参加、記録がひとつの流れとして体験できるように設計しています。
ロボットが動くのは、原則としてLIVE配信中のみです。配信していない時間帯に送金があった場合は、リアルタイム描画の対象外としています。
## LNbitsを使った決済導線
決済部分には、LNbitsを使用しています。
https://lnbits.com/
LNbitsにはLNbits SaaSというサービスがあり、1時間単位で利用することができます。またLightning払いを選択することが可能です。
LNbitsのPay Linkは、固定された送金導線を用意できるため、展示中の運用に適していました。鑑賞者は複雑な設定を行う必要がなく、Lightningウォレットから指定額を送るだけで作品に参加できます。
## Zap.streamとYouTube
制作初期には、LIVE配信とLightning送金の連携手段として、非中央集権型ライブ配信サービスZap.streamの利用も検討しました。
https://zap.stream/
Zap.streamは、Nostrと呼ばれる非中央集権型のSNSとLightning Networkを組み合わせた配信プラットフォームで、視聴者が配信中にZapと呼ばれる投げ銭(Lightning)を送ることができます。
特徴は、配信者が自分でサーバー代を負担する点で、これによりプラットフォームによる中抜きがありません。そのサーバー代もとても安いです。(1分1sat程度、24時間配信しても0.9ドル程度)
しかし、実装の過程では、管理画面が不安定になるなど、安定した運用が難しい場面がありました。そのため最終的には、Zap.stream上で完結させるのではなく、YouTubeとLNbitsのPay Linkを中心にした構成へ切り替えました。
## 全体構成
場所/役割
LNbits(クラウド)
Lightning 着金の受け取り・履歴の記録
VPS(公開サイト)
Pay Link / QR、着金履歴の表示(Webhook)
会場 Mac
着金監視 → Root 描画のみ
鑑賞者の支払い → LNbitsに着金 → MacがAPIをポーリング → ロボットが写真プリント上に⚡を描く。
描画には、制作環境側のMacと接続したiRobot社の教育用ロボットを使用しています。Mac側では、LNbitsの着金履歴を定期的に確認し、新しく着金があった場合に、その着金を描画トリガーとして扱います。
## AI Agentとの制作
本作のシステム制作には、Cursor上のAI Agentを使用し、基本的にはAutoモードで進めました。STEGANOGRAPHY TOKYOのメンバーには暗号などに詳しいエンジニアもおりますが、今回の制作は非エンジニアのみで完結しています。
この作品の構想自体は1年ほど前からありましたが、当時、非エンジニアのみで納得できるものを構築するのはまだ難しい状況でした。
その意味で、本作はLightning Networkやロボットだけでなく、AI Agentによって制作可能になった作品でもあります。
## まとめ
《LIGHTNING_OVERWRITES_01》は、ビットコインのLightning送金を、写真の上に現れる光の痕跡へと変換する作品です。そのコンセプトはただビットコインをツールとして扱うものではなく、この写真がなぜ上書きされる必要があるのかを問う作品です。
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